- アシタカひどい!カヤにもらった首飾りをサンに勝手にあげるなんて!
- アシタカはなんで、カヤの小刀をサンにあげちゃったの?
TVで『もののけ姫』が放送されると必ず話題にあがる「アシタカひどいぞ問題」(筆者命名)について、考察をまとめました。
この記事にまとめてあること
アシタカがカヤからもらった首飾りをサンに渡した理由について
- 作中で説明があるか
- みんなの考察まとめ
- 筆者の考察
- アシタカはひどい男だと思っている人
- 誠実で正義感の強いアシタカ像を崩したくない人
に、ぜひ読んでもらいたいです。
わたしはこんな人です
- とにかく『もののけ姫』が大好き。台詞再現もたぶん余裕です。
- 子どもの頃サンの見た目に惚れ、そこからジブリファンの道をまっしぐら。
- 考察は主に人物の台詞や表情、行動から行っています。
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もののけ姫|アシタカひどい?サンに首飾りをあげた理由【作中】
引用:スタジオジブリ
まずは、『もののけ姫』の作中で理由が明かされているかですが…
作中での明言はない
ずばりアシタカがサンにカヤの首飾り(以降、玉の小刀)をあげた理由について、
作中では明言されていません。
「男ってそんなもん」?
ただし宮崎駿監督の逸話に、こんなものがあります。
カヤの声優・石田ゆり子さん「アシタカひどくないですか?」
宮崎駿監督「男ってそんなもん。」
ひ、ひどい(笑)
この話はファンの間では有名なのですが、たしかな情報源については分かりませんでした。
どうやら過去TVで放送された『もののけ姫』制作のドキュメンタリーに、そのような話が含まれていたのでは?とのことですが…
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ともあれ、作中で明言されていない以上「アシタカひどいぞ問題」は自分たちで答えを考察するしかないのです。
- ネット上で見つけたみんなの考察
- わたしが推している考察
を順にご紹介します
【みんなの考察】アシタカひどい!?サンに首飾りをあげた理由
アシタカがサンに玉の小刀をあげた理由について、ファンの間ではさまざまな意見や考察が飛び交っています。
まとめると、こんな感じでした。
ネットの意見
アシタカはクズで浮気者?
アシタカはカヤのことを妹のようにしか思っていなかった?
元カノからのプレゼントを、旅先の女にあげた浮気男?
玉の小刀はお守りだから「生きていてくれ」という意味でサンに渡した?
故郷の村を出た時点でカヤとの関係は解消されたのだから、何の問題もない?
時代的にもアシタカの身分(村の次の長)的にも、側室(愛人)がいるのは当たり前?
宮崎駿監督からの「世の中そんなに甘くない」とのメッセージ?
監督はアシタカを「完璧な人間」として描きたくなかった?
本当に千差万別ですが、やはり一般的には「アシタカはひどい奴だ」ととらえる人が多い印象ですね。
アシタカが好きという人ですら、サンに玉の小刀をあげたことについてはどうかと思うという意見が目立ちます。
でも待ってえーーー!
アシタカって本当にそんな奴でしょうか?
作中でのアシタカって、
- かっこよくて、
- 真面目で、
- 礼儀正しくて、
- 正義感が強くて、
- 優しくて…
そんな印象じゃなかったですか?
引用:スタジオジブリ
あくまでもわたしの考えではありますが、
アシタカはクズでも女たらしでもありません!
ちゃんとした誠実な理由があって、カヤからもらった首飾りをサンに渡したのですよ。
【筆者考察】アシタカがサンに首飾りをあげた本当の理由
引用:スタジオジブリ
アシタカサンに玉の小刀をあげた理由として、わたしが推している説はこちらです。
アシタカはサンに玉の小刀を渡した時点で、サンを人間の世界に戻すことを諦めた?
どういうことか、もう少し詳しくご説明します。
アシタカはサンの生き方を認めた
「サンを人間の世界に戻すことを諦めた」とは「山犬として森で生きるサンの生き方を認めた」ということです。
つまり、「君(サン)が森で生きることを望むなら、自分は離れたところ(人間の世界)から、君の幸せを祈っているよ」ということ。
アシタカはそれを伝えたくて、カヤからもらった大切な玉の小刀をサンにあげたのです。
全てが腑に落ちて、以来わたしなりの解釈も加えながら推させていただいています
サンの幸せはサン自身が決めることだと気づく
アシタカはサンの存在を知ってからずっと「サンは人間だから、人間の世界に戻してやるべきだ」と考えていました。
人間の里で人間として暮らすことが、サンの幸せだと思っていたのですね。
サン本人の意思はお構いなしに、自分の正義を押しつけていた……とも言い換えられます。
物語中盤のモロとの会話に、アシタカの独りよがりの正義が表れている台詞がありました。
「サンをどうする気だ。あの子も道連れにするつもりか。」
「あの子を解き放て。あの子は人間だぞ!」
これに対し、サンの育ての母親であるモロが
「いかにも人間らしい手前勝手な考えだな。」
「だまれ小僧!お前にあの娘の不幸が癒せるのか!?」
と嘲笑い怒るのは、アシタカの「正義」が、サンのいないところで勝手にサンの幸せを決めつけていることを見透かしたからです。
引用:スタジオジブリ
結局モロに言い負かされてしまったアシタカは、岩穴へ戻り、モロに言われたことについて考え直します。
そしてその「独りよがりの正義」が改められた瞬間こそ、アシタカがサンへ、玉の小刀を渡した場面なのです。
アシタカとサンの場合、必ずしも恋愛だけに留まらないものと思っています
『もののけ姫』のキャッチコピーは「生きろ」。
若くて瑞々しい恋愛ではなく、アシタカとサン、カヤや他の人物らが、苛烈な生を「どう生きるのか」を描いた作品ととらえるべきではないでしょうか。
引用:スタジオジブリ
アシタカはカヤの気持ちまで手放したわけではない
というのも、アシタカは「物」自体にあまり執着がないように見受けられるからです。
- 村でタタリ神に壊された物見やぐらをまったく惜しがらなかった。=人命を優先した。
- 大粒の砂金を、あっさりわずかな買い物に使った。
- タタラ場で屋根から落ちるサンの窮地を救うのに、屋根の一部を破壊した。
- 腕を失ったエボシの手当てに、迷いなく自分の着物を裂いて使った。
大切な意味を持つ玉の小刀でも「物」は「物」。
他に優先すべきことがあるなら、アシタカは「物」を持ち続けることにはこだわらない性格のようです。
小刀をサンに渡してくれとモロの子に託した時、優先すべきはサンに、
- 「離れていても、君の幸せを祈っている」
- 「無事に生きてくれ」
と伝えることでした。
そしてそれを的確に伝えるのに、玉の小刀はうってつけだったわけですね。
ですが、それが「カヤの気持ちをないがしろにした」とは結びつきません。
アシタカが人の気持ちをかんたんに捨てる性格ではないことの根拠として、
- タタラ場の女たちとの約束「あとで仕事場に行く」を守った。
- エボシに激しい憎しみを覚えたのに、病で寝たきりの長の願い(エボシを手にかけないでほしい旨)を聞き入れた。
- おトキらとの約束「必ずエボシを連れて帰る」を守った。
などがあります。
サンへのメッセージとして小刀を渡したとしても、アシタカはカヤから受け取った気持ちまであっさり手放すような、ひどい男ではないはずです。
玉の小刀の意味=離れていてもあなたの幸せを祈ります
アシタカがサンへ「離れたところから君の幸せを祈る」と伝えるのに、玉の小刀がうってつけだったとお伝えしました。
玉の小刀が持つ意味について、もう少し詳しくご紹介しましょう。
公式からは玉の小刀について、次のように記されています。
黒曜石のナイフのこと。黒曜石はガラス状に薄くさけることから石器として珍重され、縄文時代の重要な交易品だった。アシタカの村では、乙女が変わらぬ心の証に、異性へ贈るものとされる。
引用:徳間書店「ロマンアルバム もののけ姫」
カヤからアシタカへ小刀が渡された時、その意味は
- (乙女であるカヤが)変わらずあなたを愛し続けます。
- 離れていても、あなたの幸せを祈っています。
でした。
ですがアシタカは乙女ではないので、アシタカからサンへ小刀が渡された時の意味は
- 離れていても、あなたの幸せを祈っています。
となります。
「サンはちゃんと小刀の意味分かったのかな?」
▼こんな感じかな?
アシタカは、タタラ場へつながる道まで案内役をつとめたモロの子に、小刀を託した。
▶ そのまま付いてくることもできたのに、そうせず、代わりに贈り物をした。
▶ 「自分はタタラ場へ戻るけれど、山犬として森で生きる君の生き方を認めるよ。どうか無事で」的に解釈した?
こう考えると、物語終盤にサンが
「お前(アシタカ)も人間の味方だ!その女(腕を失ったエボシ)を連れてさっさと行っちまえ!」
と逆上した心情も、なんとなく分かる気がしますね。
もののけ姫|アシタカはなぜ村へ帰らないの?【カヤが待ってるのにひどい!?】
引用:スタジオジブリ
アシタカが「ひどい奴だ」といわれるのにはまだまだ理由があります。
そのひとつが、
「最終的に呪いが解けたのに、なぜカヤの待つ村へ帰らないんだ!」
です。
ですがこれにも、ちゃんと理由があります。
アシタカは帰りたくても帰れない
アシタカは村へ帰らないのではなく、帰れない
なぜならアシタカは、村では人ではなくなってしまったから。
夜中に見送りもなく、寂しく旅立っているのもそのためですね。
引用:スタジオジブリ
アシタカは物語冒頭、カヤたちを助けるためとはいえ神を手にかけ、呪いを受けてしまいます。
村の者から非常に愛されていたアシタカは、みなに「なんとかならないのか」と温情を受けますが、実質的には追放されてしまった身なのです。
出ていく前にまげを自ら落としたのは、遺髪を置いていくためですね。
この行為で、アシタカは正式に「村では人ではなくなった」ことを表しています。
アシタカとカヤは、今生で二度と会うことができません。
それを踏まえてみると、重みがちがって見えます。
カヤはアシタカの妹ではなく許嫁
カヤはアシタカの妹ではなく、許嫁
とは今や有名な話なので、ご存じの方も多いでしょう。
これは考察ではなく、公式がハッキリと明言していることです。
カヤは、アシタカを兄さまと呼ぶが、これは一族の中での年長の男子という意味合いのもの。カヤはアシタカの妹ではない。
引用:徳間書店「ロマンアルバム もののけ姫」
カヤがアシタカを「兄さま」と呼ぶので、最初は声優を務めた松田洋治さん(アシタカ)や石田ゆり子さん(カヤ)も、兄妹の関係だと勘違いしたそうですね。
参照:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント「もののけ姫はこうして生まれた」
まとめ:サンに首飾りをあげたのには深い意味がある
引用:スタジオジブリ
この記事に書いてあったこと
- アシタカがカヤの首飾り(=玉の小刀)をサンにあげた理由は、公式からは明言されていない。
- 考察するに「サンを人間の世界に戻すことを諦めたから」ではないか。
- 玉の小刀が持つ意味は「離れていても、あなたの幸せを祈っています」。
- アシタカは故郷へ帰りたくても帰れない。
いかがでしたか?
「アシタカはひどい男だ!」といわれるのにはいくつか理由がありますが、多くは表面だけを見てしまっていることによる誤解です。
突き詰めてみれば「アシタカは誠実で正義感の強いヒーロー」であることがお分かりいただけるはずです。
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